いいから、いいから。ドーンとまかせておきたまえ。君、私をみくびってもらっちゃ困るよ。最近はベストセラーと呼ばれる作品こそ出していないが、まだまだ私のアイデアは尽きることなくこの頭の中にギッシリと詰まっておるのだからして。うむ…。お!今、ちょっといいアイデアが浮かんだぞ!君にも明るいものが見えただろう?私のアイデアはキレが違うからね。あの時代物を専門に書いているなにがしは、こう、ぼ~っとした行灯が浮かぶそうじゃないか。かと思うと、いまどきの若いのは色ばかり派手で、チカチカと落ち着かないからねぇ。アイデアの灯火というのは、品位が現れるものなんだよ。え、時間がない?浮かんだのなら早く書いてくれ?せわしない奴だな。-気に明るくするとだな…ほらほら、あ~ぁ…フィラメントが切れちゃったよ…。
【作】 竹中 梓 京都精華大学マンガ学部 マンガ学科カートゥーンコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授