「とりあえず、今夜の山は越えたらしい。まだまだ予断を許さない状況ではあるが…、もともと体力がない方ではないので、希望はあるだろう。泣くな、うさぎ。心苦しいのは皆同じだ。我々は地球がここまで弱っていることを知りながら、何の策も打てず、ただ与えられた恵みに頼って生きてきた。地球の優しさに甘えてきたのだ。なに?一番悪いのは、そこに寝ている奴だって?同じ地球上の動物だと思えない?シっ!豚よ、君は声が大きい。…それは、確かにそうかもしれん。だが、特効薬がなく死んでしまいそうな地球を助ける術を持っているのも、彼なのだ。彼もそれは分かっている。決して地球を粗雑に扱うつもりではなかったはずだ。何か…間違ってしまったんだろう。理解してやろうじゃないか‥」白熊の言葉に、人間は黙って寝返りをうった。
【作】 大野由美子 京都精華大学マンガ学部 マンガ学科カートゥーンコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授