見えてきたぞ。あれが噂の高齢者街か。地球の完全砂漠化のため、火星に全人類が移り住んで約80年。でも何だかんだで、90歳を越えるお年寄りの半数が、またこの地球に戻って自給自足で住み出してしまったんだよな。しかも年々その数が増えてるってんで、やっと2年前に政府も公認して、街の整備に努めたり、我々みたいなヘルパーが派遣されるようになったと…。でも、判る気はするなあ。どんなになっても自分が生まれた所は大切だしさ、よその星で死にたかないよな。火星生まれの俺でも、火星以外での老後生活なんてごめんだもん。さて、それじゃあ、たくましきおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行くとするかな。こんちわ~っと。
【作】 田村 奈々 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授