おかしいなぁ。確かこのあたりに到着するように神様に言われてきたんだけど。おっと、みんな。そんな心配そうな顔しないで。ここで神様を信じなきゃ何のためにこの方舟型宇宙船で火星を脱出したかわからないだろ。僕の祖先である初代ノアも、ただひたすら嵐の中を方舟でさまよって、次世代に君たちの祖先を残したんだ。22世紀に生きる僕らにもきっと希望はあるはずさ。とはいえ、初代があの大洪水にあったのは地球上だからなぁ。今回のような宇宙規模の大爆発ってもしかして神様も初めてだったんじゃ…。ン!あれは太陽? あの大きさから言うと、もしかしてここは地球? ということは、また紀元前の地球からやりなおせってか? そりゃないよ、神様。
【作】 陳 鏡閔(チン・ジンミン) 京都精華大学芸術学部4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授