「見よ!ロシナンテ。あそこに咲くは、人々に滅んだと言われて久しい野の花ではないか?すばらしい。我が愛しの姫君への何よりの貢ぎ物となろう。この地球が狂い緑という緑が枯れ果て、ただの砂の大地のみが広がって数十年。世界をこのように変えてしまった化け物を退治せんとただひたすらに旅を続けてきたが、わしも疲れた。あの花を摘み、一度国に帰るとしよう。なぁロシナンテ」「なに言ってんですか。あれは動かなくなった風車ですよ。前も巨人と間違えて跳ね飛ばされたでしょ。それから何度も言うようですが、化け物探したっていやしませんよ。退治したいんならね、もっと早くあなた方「人類」ってやつをやっつけてほしかったですよ!」
【作】 趙 誠信(ヂョウ ソンジン) 京都精華大学大学院芸術研究科2年
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授