「父ちゃん。なんや今日のタコ、ゆで過ぎやで」「そやけどな、母ちゃん。海の底の方はまだそないに熱うなりきってないさかいにタコも温泉気分で住んどるようやけど、深さ10mくらいから上は熱湯に近い水温やからな。タコつぼ引き上げる時間を短うせんとあかんのはわかってるんやけど、しかけの縄もつぼも…アチチ、煮えてしもてるんや」「世界中の海が熱うなって、どこの漁師も困ってるいうんやから、ゆがいたタコでも買い手のあるウチらは運がええんやで」「魚や貝と違て、もともとタコはゆでダコが一般的やからな。そら抵抗ないやろ」「その分、消費者はゆで加減にうるさなってるんや。父ちゃん、きばって早よ上げな売れへんで!」
【作】 田村 奈々 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授