「ドクター。今処方してもらっている不眠症の薬なんだが、できれば別のものにかえてもらえないだろうか」「よろしいですが、何か副作用でも出ましたか? 大統領にお出ししたのは、確か一番おだやかに効くタイプのはずですが」「実は何故か毎晩、羊の夢ばかりみるんだよ。それも緑色のを何匹も」「あぁ、それはご心配いりません。故郷の地球でも昔から羊を数えているうちに熟睡することができるとされていますでしょう。緑色なのは自然再生の象徴です。貴方の不眠症の原因は地球全土を人類の手で荒廃させてしまったという罪悪感からでたものなのです。大丈夫です。人類がこうして地球から離れて半世紀経ちました。来年にはきっと花も咲いていますよ」
【作】 鈴木素美 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授