「すごいですねぇ。まさかここまで人気が出るとは、正直、思っていませんでしたよ」「キミのお株を取り上げたようで、大変心苦しいがな」「また、そんな…勘弁してくださいよ。しかし本当にアンドロイドが人間のスポーツにこんなに夢中になるとは。私にはミスだらけのゲームにしか見えませんが」「それがいいんだろう。自分たちはどんなに働いてもミスをすることはない。そんな日々の中ではアンドロイドゆえのストレスが溜まり、壊れてしまうのだ。だがこうして人間のミスに対して喜んだり怒ったりすることで内部エネルギーが発散され、集めたエネルギーはまた自分に還元される…」「ミスもゆとりの一部ということでしょうか」「いずれ我々にも必要になるかもしれんな」。二台のロボットは、点滅ボタンを見合わせて笑った…。
【作】 中下麻衣 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授