1999年
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 「未来型実用墓木」

僕らはみんな生きている。だから死んでも仲良くしましょ。

お母さん、お元気ですか? まだまだ寒い日が続いていますね。さっそくですが先週の日曜日に、頼まれていたお墓の購入手続きを済ませてきたので写真データを送ります。オプションに造花と科学線香があったのでつけておきました。リス2匹はサービスだそうです。国の融資制度を利用した場合は、身近な動物たちに住みかとして、墓木の一部を提供することが義務づけられているので助かりました。リスならかわいいし、うまくいけば他の木の種を持ってきてくれるかもしれまん。とりあえず、これで地球に残って死ぬ権利が確保できました。おばあちゃんの時代の宇宙葬に比べれば贅沢ですね。とにかく一度見にきて下さい。では、また。

【作】
東 朋美
京都精華大学芸術学部
マンガ専攻3年

テレビでインターネットを使ったお墓があるって聞いたのがヒントになりました。人間だって死んだ後ぐらいなら地球の役に立つんじゃないかと。こんな明るいお墓も良いでしょ。

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

これは変わった絵だね。飛んでいる鳥も絵の背景も動きがない。何の音も聞こえない静かな世界というか。墓標の一本の木が動物たちのささやかな住みかとなってしまった。
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