1999年
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 「オリ無き動物園にて」

生きるための行動力が身を助く。これこそ進化の基本なり。

オーライ、オーライ、もうちょっと東に30度ふってくださ~い。OK、OK。風向きも良好だぁ。酸性雨の降水確率も低そうだし。後はこうして傘を張って待ってさえいればいい、と…。なに? ライオン君、信用してないの? 大丈夫。僕らリス族は身軽なんだから。コウモリと同じようにとはいかなくても、ムササビ程度には飛べますよ。とにかくここから脱出しなきゃ。その為には偵察が必要だからね。でももし何の連絡もなかったら、次はウサギさん、頼みますよ。え? そんな不安気な顔しないで。いつかはこの足元の緑もなくなってしまうんだよ。動物の新しい可能性のためにも僕は飛びます。ウン!良い風が吹いてきたぞ! それじゃ、いってきまーす。


【作】

京都精華大学美術学部
マンガ専攻3年

草木も動物も人間も、生きていることに変わりはないのに、なぜ人間だけが難を逃れているのか?地球は、この動物ピラミッド並みに危ういバランスの上に保たれているんです。

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

わずかに残った草花に群がる動物たち。とてもかわいらしく描けたと思うけど、悲しい物語だね。動物がいなくなれば人間も最後の時なのに。君は最近スゴクうまくなってきたよ。
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