「陽も傾いて来たというのに、なかなか落伍者がでませんねえ、社長」「ふむ、今年の入社希望者は皆やるねえ」「そりゃあ、ここ数年の本格的な地球温暖化のため我ら水産業界は大きくシェアを伸ばして、今や就職したい業界第1位ですからね。彼らにしても厳しい競争の末の最終試験で脱落はしたくないでしょう」「まあしかし、ボートに乗ったまま海中に沈んだ合格プレートを一日で探すなんて試験、他ではやってないだろうねえ」「で、社長。今年は何枚プレートが沈んでるんです?」「ははは、0枚だよ。わが社もそろそろ人件費を削らんとな。何なら人事部長、君もあの中に混じって試験を受けるかい?」
【作】 小川信子 京都精華大学芸術学部 マンガ専攻4年
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授