「ねえ、お母さん。私のヘッドフォン、見なかった?」「さあ…。あ!もしかしたら、おばあちゃんかも。『懐かしいものがあるねえ』とか言いながら見てたもの。何でもね、今度買った日傘って音楽配信がしてもらえるようになってるらしいのよ。おばあちゃんてば音楽好きでしょ。晴れてさえいれば、充電にも困らないのよって喜んでたし」「ふ~ん。まあ、インテリア用にフリマで買ったものだし、いいんだけどね。おばあちゃんが若い頃の時代の歌って、人間が歌ってるんだよね。そんなの上手なのかなあ」「今は機械が人間の耳に一番いい状態の音を、自動的に選んで流すのが当たり前だものね」「一度、おばあちゃんの時代の歌も聴いてみようかな。じゃ、いってきま~す!」
【作】 金 志呟(キム・ジヒョン) 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授