「おじいさん、見てくださいよ。孫達の鯉のぼりがこんなに間近に」「ほおお、今年から鯉のぼりが復活するという噂は聞いとったが。どれどれ。なるほど、わしらのいる天まで届きそうな勢いじゃな」「何といっても発電が目的ですし、金太郎の図柄が雷の子に変えられているとはいえ、私達が息子に買ってやったものがこうしてまた日の目を見るなんて、ありがたいですねえ」「何だ、泣いとるのか。涙もろいのは死んでも変わらんな」「孫達もあんなに楽しそうに…」「ふむ。ゲーム機の充電がうれしいのかもしれんが、まあ嫌がってはおらんようじゃな」「またそんな憎まれ口をたたいて。おじいさんこそ目が赤いですよ。何はともあれ、いい風を送ってあげましょうよ」「わかっとるよ。ほうれ!」
【作】 太田 朝子 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授