う~ん。ここまで登ればそれなりに風が吹いてると思ったんだけど、今日はだめだわ。凪っちゃってて、ちっとも風車がまわりゃしない。下の家やビルの風車も止まってるもんね。しょうがない、自力で充電するかな。せ~の!フー!フー!フー!フー!フー!フー!あ~、何とか反応するようになったかな。それにしても、世の中便利になったんだか何だかわかんないわよね。ケータイ使いたさに、こんな山にまで登って、おまけに過呼吸になりそうなほど風車まわして。何やってるんだろ。ここに立ってる木に比べたら、自由になる手足も口も目も耳もあるのにさ。私達、コミュニケーションの仕方、忘れちゃってるよね…。ん?メールだ。あ、ナツミからだ。返信返信っと…。
【作】 多田 夏美 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース4年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授