「工場長、見てくださいよ。あの二人のうれしそうな顔を。私の言ったとおりでしょう」「う~む。確かになあ。君の夢枕にわが社の牛乳パックが立ったと聞いた時は、正直言って信じられんかったが…。なるほど、製品に加工されても故郷を忘れておらんかったというわけか」「あの木と牛乳パックってきっと並んで生えてたんですよ。元は親子だったんですかね。それとも恋人同士かな。何にせよ、かわいそうですよね。人間の勝手で引き離されてしまって」「まあ、いつかあの木も切り倒されて何かに利用されてしまうだろうがな。それも運命だ。しょうがないさ」「だからせめて、資源はしっかりリサイクルして使い切りましょうよ!でも…あの牛乳パックだけは、ここに置いていきましょうかね」
【作】 河合 亜寿香 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース2年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授