2005年
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 「眠れる場所へ…」


娑婆も彼岸もせちがらく、みんなで引越しエッホッホ!

 「やれやれ、だいぶ登ってきたな。ばあさん大丈夫か?」「ええ、おじいさん。おかげ様で痛む足ももうありませんしね。おじいさんこそ腰は大丈夫ですか?」「なあに、まだまだ。しかし墓に入ってまで安心しておれんとは。これというのも、先祖代々檀家であった寺が、あんな工場に土地を売り払ってしまったせいじゃ!」「しょうがないですよ、おじいさん。今や日本の人口は100人足らず。しかも半分以上は海外暮らし。私達の子孫も今どこでどうしているのやら」「嘆かわしいのぉ。何とも寂しい限りじゃなぁ」「おじいさん、私はいつまでもついて行くますから元気だしてくださいよ」「うんうん。まったくじゃ。これからも二人、手を取り合って仲良く生きていこうな」「…もう死んでますよ」

【作】
吉川 貴子

京都精華大学芸術学部
マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生

うちのお墓はどちらかと言うと街なかにあるんです。道路も近いし、昔に比べるとご先祖様も「うるさい」と思ってるかも。もちろん、私はお彼岸やお盆にはお墓参りに行きますよ。

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

死者の大移動というのはちょっと意表をついたアイデアだ。空中と地上の段差を表す構図にもずいぶん工夫のあとが見られるね。難しい表現をよくこなしているのに感心したよ。
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