「ねえ見て、あそこ。オスがいるわよ」「ホント。私、純粋なオスを見るのって半年振りだわ。まだいるのねえ」「ここらへんは都会だもん。だから男子トイレも残ってるのよ、きっと。でも、私も最近はお父さんとおじいちゃんぐらいかなあ。お兄ちゃんは半分メスが入ってきてるしねえ。うちの職場もメスオンリーだし、近くのメダカの学校も今年から女子校になったらしいしね」「人間がまき散らかしている環境ホルモンの影響で、本格的にオスがメス化してるって話だけど、私達にはピンとこないわよね」「まあ将来、結婚する気なら困るけど、私はまだまだ花の独身を通すんだも~ん」「だけど、このトイレの順番待ちが長いのは困り物だわ。すいませ~ん! 性転換中の方は男子トイレに行ってもらえません?」
【作】 森井真理 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授