ヒック! 見たまえ、主任! あの山を。いつの間にやら、わずかながら木が生えとるよ。えらいもんじゃあないか、ん~! 何十年と生やしたわが身の樹木を一瞬のうちに人間に刈り取られ、お天と様にさらされた肌身は削りとられ、しかも環境破壊による酸性雨を浴びる日々。そんな過酷な人生を歩んどるにもかかわらず、ヒック! 自らの可能性をあきらめない。その強い意志の結果が、あの数本の木というわけだね~。いやいや、身につまされる。我々サラリーマンも見習わにゃあいかんよ、うん。ヒック! こうして向かい合うと、まさに私と君の姿にそっくりだね。何を隠そう、私も日々の努力により、こうしてわずかながらも毛がね、うん。君も負けちゃあいかんよ。さあ、もう一軒行こう~! ヒィッ~ク!
【作】 早川乃梨子 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授