「あんた、ちょっと見たって。木星の娘夫婦んとこから映像が届いてますのや。」「あ~どれ、このボタンをポンっと…。お、出た出た。」「ま、ユウタの絵が写生大会で金賞やて。へえ、今はまた地球まで遠足に行くねんねえ。」「地球は人類の発祥の地やからな。この火星で生まれたワシらでも、なんや懐かしい場所やわな。」「そやな。今は砂とコンクリートの残骸しかないけど、私らと同じようにそこで生活したはった人らがいてたんやもんねえ。」「ま、歴史の教科書で習うことを実際に見るのも勉強の内やろ。それよりな。ユウタにこづかい送ったろ。」「ええね。ほなさっそく電子バンク用意するわ。」
【作】 植野 朋 京都精華大学芸術学部 マンガ専攻4年
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授