「麦秋だねえ。何、知らん? 麦は稲と違って夏に実るんだよ。だから昔から日本には麦の秋、つまり麦秋という美しい季語がある。口が肥えてるわりには、原料本来の姿を知らん奴が多すぎるな。私らの若い頃は…。こら、ちゃんと聞け! とにかくだ、麦はまだ5センチにもならん頃、人間に踏まれるんだ。麦踏みと言ってな。するとだ。麦は偉い。負けちゃいかんと更に伸びようとする。それをまた踏む。また伸びる。そして立派な穂をつける。地球もしかり。甘やかしてはいかん。つまりこれが今回の作品のテーマだよ。」 「…(一同無言)」
【作】 藤南 享子 京都精華大学大学院 マンガ専攻3年
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授