わたしのお父さんは、地球の南極というところで働いています。今の地球は暑くなりすぎて、溶けた氷河の水のために陸地はほとんどなくなっています。それで父さんたちは大きな堤防を造って、これ以上、氷が陸地にせまって来ないようにしているのだそうです。わたしが「どうしてもう誰も住んでいない地球で働くの?」と聞くと、お父さんは「昔の地球人は過ちをおかして地球をだめにしてしまった。その教訓は形にして残しておかないと、人間はまた同じ事を繰り返すかもしれないから」と言いました。この間、お父さんが小さな氷河のかけらを持って帰ってきてくれました。酸性雨のせいか、少し酸っぱくてしょっぱい味がしました。地球の涙だったのかもしれません。
【作】 佐藤 充 京都精華大学芸術学部 マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授