聞いてください、僕の話を。ある日突然、ここのジャングルの木はすべてなぎ倒されてトラックで運ばれていきました。わずかに残ったバナナの木も人間達のもので、もちろん僕らの分は1本もありません。そこへやってきたのがこの熱波です。連日の熱さに土地はあっという間に砂漠になり、人間達はサッサとこの畑を捨ててどこかに消えました。ああ、またバナナが東の空で。でも僕の手はむなしく宙をかくばかり…。
【作】 齋藤真実 京都精華大学美術学部 マンガ専攻4年
【評】 ヨシトミヤスオ 京都精華大学芸術学部・ 教授