2002年
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 「時のいたずら」

老婆のつぶやき、溶けて流るる。こんな私に誰がした。

お若いの。そんなに露骨に驚いた顔をせんでもよかろう。確かにのう、その手にもっとる案内書を頼りにここまできたんじゃろうから、おまえさんの気持ちも判らんではないがの。ワシとて好きでこんな姿を見世物にしとるわけではない。これでも創られた当時は「萌黄色の乙女」という作品名そのものだったんじゃ。その案内書の写真どおりののう。じゃが外に置かれたことが不運の始まりじゃ。年々、ワシは雨に打たれる度に少しずつ体型が崩れてきた。雨の酸性度数があがってきたんじゃ。そして、いつの間にかこんな姿になり、誰もワシを美しいとは言わんようになった。なに、人間と同じになったということじゃ。おまえさんの自慢の彼女もいずれはこうなる。覚悟するんじゃな。


【作】
森田 恵

京都精華大学芸術学部
マンガ学科カートゥーン・マンガコース2年生

地球も星の寿命としてはあんまり若くないって聞いて、時間がたつと美しくなくなるのは女性と同じだなあって。だからこそ日々努力なんでしょうけど、それも同じですね(笑)

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

彫刻の対比が的確でズバリそのもの。その点、右側の人物にもう少しとぼけた魅力が表現できていたら満点をあげるところだ。この調子で作品数を増やしていって欲しいね。
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