2002年
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 「眠りの森の樹木」

オーガニックは不滅です。求める人間がいる限り。

 ようし、そのままゆっくり運べ。揺らすんじゃないぞ。高精度の瞬間冷凍技術で凍らせてあるんだ。その分、樹木全体が薄氷同然にもろくなっているからな。この時代の人間どもはまだ気づいとらんようだな。この木の一本一本が、将来どれだけ素晴らしい価値を持つかを。我々が住む2200年代では、人間がバイオ操作していない生物など皆無だ。細菌やウィルスさえ人間が支配した。だからこそ、自然の力のみで成長した生物は限りなく貴重で美術品に近い。金持ちが先を争って手に入れたがると言うわけだ。どうせここに生やしていても、いずれ切り倒される。時空フライトで我々と来たほうが、この木達も幸せというもんだ。さて、オークションに遅れるといかん。急ごう!


【作】
大藤 恵

京都精華大学芸術学部
マンガ学科カートゥーン・マンガコース3年生

現代人の言う自然って、貧しい気がするんですよ。TVなんか見てても、「大自然の中」といいつつ、舗装された道を車で走ってたり。結局、人間は自然と共存はできないのかも。

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

一般的にいう上手な絵ではないんだが、ややリアルな画風が効果的。簡略化してあるわけではないので、見るたびに作者の意図が的確に伝わる。整理の仕方がうまいんだな。
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