2000年
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 「追いかけてこないで」

生きるためには足も出る。進化をうながす母性愛。

「お母さん。目がしみるよう」「痛くても我慢して走りなさい。酸性雨に濡れると、アンタのチョボけたトゲなんかすぐ溶けてしまうんだから。地球上の砂漠面積が広がって、確かに私達サボテンは他の植物に比べたら生きやすくなったけど、まともな雨が降ってくるのは今や数年に一度。あとは酸性雨が地中に沁みている間にうまく酸性がやわらげば、そこでやっと水分を吸い上げることができる程度なんだから。こうして砂漠の中を酸性雨をよけて移動することができるなんて、昔の植物には考えられないことなのよ」「僕、生まれた時から歩けたよ」「これも進化なのかしらね。あっ。雨雲が近づいてきたわ。サァ、走るからついてくるのよ」「ウエ~ッ」


【作】
鄭 仁敬(チョン・インギョン)

京都精華大学美術学部3年生

地球環境の変化に迷惑をこうむっているのは言葉を喋らない植物たちも一緒だと思って、比較的強いイメージのサボテンを使ってみました。子供のサボテンは次世代の象徴です。

【評】
ヨシトミヤスオ

京都精華大学芸術学部・
教授

これは酸性雨と砂漠化のダブルパンチかな。サラサラッとまるで落書きのように描いているんだから、まるでプロみたいだ。アイデアはまずまず。もう少しユーモアが欲しいな。
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