FAME inc. KYOTO SINCE.1989
インデックス

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国立国会図書館主題情報部がリサーチナビ(http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/)で採用する定義は、

タウン誌・ミニコミ・フリーペーパーとは
  • タウン誌:主に大都市内の一定の地域で発行されている地域内情報誌。

  • ミニコミ:地域情報、地域のコミュニケーションのための小雑誌や印刷物。

  • フリーペーパー:無料(無代)新聞とか広告新聞とかいわれることもある。収入のすべてを広告料であげ、読者には無料で配られる。

  • (出典:『マスコミ用語辞典』東洋経済新報社 1982 (UC2-10))

    となっている。
    AREA Magazine ERA われらの時代

    It began with the NTT Town Magazine Festival

    NTTタウン誌フェスティバルが地域メディア成長期の始まりを予言する
     NTT事業部が全国に新聞・テレビで呼びかけ、タウン誌408誌を集め「第1回NTTタウン誌フェスティバル」を開催したのは、昭和60年(1985)であった。選考委員会代表・渡辺文雄さん(俳優)が壇上で第1回NTTタウン誌大賞を授与する様子は、経済成長を果たし、これからは地域の力、タウンメディアが試される時代だよ、と言っているように見える。


     実際、タウン誌フェスティバル応募総数は第1回の408誌から始まったが、その後、年ごとに増加し、第10回は591誌(1994,H6)、第11回645誌、第12回は714誌、第13回は777誌とバブル崩壊後にもかかわらず急上昇し、第14回にNTTの機構変化に伴い、最後となったものの882誌が参加し、最大数を記録した。14年間での延べ総数は1100誌となる。記録を見ると装丁やページ数においてちゃんとした雑誌といえるものの割合は相当数ある。

     また、選考委員も渡辺さんを始め、赤塚行雄(評論家)、阿川佐和子(作家)、岡部冬彦(漫画家)、木村治美(大学教授)、鷲津美栄子(評論家)、田村紀雄(大学教授)らが名を連ね、その選評には説得力がある。
     きちんとした統計はないものの、その後は、広告枠を中心に構成した「フリーペーパー」が席巻し、じっくりと地域の人の暮らしが伝わってくる「タウン誌、ミニコミ誌」は、発行したい側のブーム、読者・生活者の注目度は減少したように思われる。
    渡辺文雄さん曰く
     十数年に渡りタウン誌を見つめてこられた(「遠くへ行きたい」からかもしれないが)渡辺文雄さんは、10周年記念特別賞を選定するにあたって、次のように述べている。
    『決して楽ではない条件の中でタウン誌を作り続けた人々の努力には、芯から頭が下る。(中略)この十年、とにかく作り続けられたタウン誌は、いづれも確実に育っている事が、今私にははっきり判る。言う迄もなく町は生命体であるから、その町に生まれたタウン誌も又、生命体つまり育つものである。だから十年ものつき合いともなれば、その育ち方が気になる。地方に在住する友人の消息が気になるようにである。』
     努力を知っていてくれる人を前にして涙が出てくるおもいだ。(実際、渡辺文雄さんは別のTV番組で京都に来られた際、われらが編集室を訪問してくださり、激励してくれた。)

    We got the Grand Pri at 7th Fest.
    and Editorial skill award at 10th Fest.
    Most Valuable Magazine at the 10th Annivasary Award

    第7回大賞・第10回編集技術賞・10周年記念特別賞 受賞
    われわれも参加した10周年記念受賞座談会で各タウン誌発行者たちの発したことばのポイント、キーワードを見てみよう。
    1 : 月刊みやこわが町
    『われわれは、この町に生まれて、この町で死んでいく、身近なんですよね、町そのものが。だから、ここで生きていく以上、税金を払っているし、いいたいことは言って生きたい。(月刊みやこわが町)』
    2 : Club Fame
    『自分が京都で遊んだり、活動するときのパワーがそのまま本になっていたんですね。人の輪が次第に広がり、継続してタウン誌を発行していけることで風習や地域の伝統を堀り起こすことができます。(Club Fame)京都エンターテイメント誌』
    3 : ひらがなタイムズ
    『外国人はけっこう阻害されているような感じがあって、相当数のハガキがくるので、その対応にやればやるほど時間と労力を必要とします。しかし、社会的な使命ということで割り切っているのですが大変です。(ひらがなタイムズ)東京・ルビ式バイリンガル誌』
    4 : 子づれ DE CHA・CHA・CHA
    『8人のメンバーの賃金は、世間の半分程度でがんばっているところです。3号を発行したところで、福岡市の女性専門店街にベビーベッドとベビーキープが据えつけられました。ポロを着てても、街を変えたという自信のようなものができました。(子づれ DE CHA・CHA・CHA)子育て応援誌』

    the rise and fall of the town media

    タウンメディアの勃興・盛衰
     全国31誌が加盟するタウン情報全国ネットワーク(http://www.tj-net.co.jp/)の「あゆみ」の記載を見ると、
    ・1973年(昭和48年)日本初のタウン情報誌「ながの情報」創刊
     とあり、1984年(昭和59年)8月「Club Fame、京都CF!」の前身、「A CITY FOCUS」創刊の弊誌に先立つこと約10年である。  その四半世紀後、
    ・1997年 ●加盟誌数:31誌
    と現在(2010年)の加盟数とこの時点で同数となる。
    TJNの組織拡大としてはピークアウトといえる。
    (このころ、フェイムの同ネットワークへの参加要請が幾度か先方よりあったのを記憶している。)
     早急な結論ではあるかもしれないが、やはり、タウン情報誌は、日本の社会経済の成熟とともに育ち、その完成とともに衰弱していったのかもしれない。
    雑誌などの検索サイトを見ると
     雑誌のFujisan(http://www.fujisan.co.jp/、有料販売が多く登録されるサイト)で国内地域・タウン情報に分類されているのは96誌しかない。
     タウン誌ネットワークUnyo!(http://www.u-nyo.com/、地域ミニコミ誌との提携に力を入れているサイト)での800誌に迫る登録誌のうち、ほとんどがフリーペーパーのようだ。 InterNetの普及とフリーペーパーの増加に相関性はあるとは考えられ、理解もできる。が、タウンメディアの役割からすると、もし、衰退率も比例しているとなると話は違う。
    フリーペーパーの発行者を中心に組織されている「日本生活情報紙協会(JAFNA)」(http://www.jafna.or.jp/)によれば
    ・「フリーペーパー実態調査2006年では調査結果全950社、1,200紙誌を掲載」だが、2009年版は、「発行数などが、115.7%、勢いに緩急をつけながらもフリーペーパーはその規模を確実に拡大」している
    のだそうだ。

    Our performances extended throughout the KYOTO

    編集発行から事業参画へ
    タウン誌を編集発行する会社、組織の発展を示唆している前出のタウン誌フェスティバル10周年記念受賞座談会のキーワードとわれわれの歴史と符合するかもしれない。
    それは、
    ・自分たちの街の役に立つことはなんでもする
    ・市民運動的活動のみならず行政にも働きかける
    ・サブカルチャーもメインカルチャーも分け隔てなくサポートする
    であろうか。

    その後フェイム社は、
    ・1996年 5月 京都市産業観光局主催、全国レジャー誌京都特集コンテスト入賞
    ・1997年 7月 全国高等学校総合体育大会京都大会京都市ガイドブック企画編集
    ・1999年10月 京都市自治100周年事業「京都元気大賞ガイド」企画編集
    ・2001年 3月 京都市京都新世紀ビッグイベント「京都21」の「京都21リポート」冊子制作
    のように地域行政の文化イベントのオピニオンリーダーとして実績を重ねた。

    Next Runners

    ペーパーメディアのラストランナーたち
    われわれは、その後参加しなかったが、NTTタウン誌フェスティバルの最後の三年間の受賞誌を見ていただこう。誌名や地域、雑誌コンセプトから見えてくるものがある。

    第14回受賞誌
    ■ 大賞
    「Water-Path」(東京都青梅市ウォーターパス編集委員会)
    多摩川の本支流の上流部に連なるフォレストゾーンを「水の径・風の径・緑の回廊」と位置づけ、刻々と変化する表情、自然の営みの精繊さや、人々の様々な試みを見つめる総合季刊誌。
    ■ 部門賞
    ◎ 企画賞
    「ひらがなタイムズ」(東京都)
    海外でも販売し、異文化コミュニケーション誌として80カ国以上の人々に親しまれている外国人向け文化月刊誌。
    ◎ 編集技術賞
    沖縄通信「うるま」(沖縄県)
    文化、芸術、芸能、経済、グルメ、スポーツなどを切り口に沖縄とアジアを紹介する総合文化月刊誌。
    ◎ 地域コミュニケーション賞
    「奄美の情熱情報誌ホライゾン」(奄美群島観光連盟/奄美群島広域事務組合)
    喜界島と奄美大島・徳之島・沖永良部島・与論島の五島に生きる人、文化及び森や海の大自然と植物にスポットをあてた総合誌。
    ■ 奨励賞
    「きたかぜ」(秋田県秋田市ノースウィンドネット)
    「やまがた散歩」(山形県山形市やまがた散歩社)
    「湘南物語」(神奈川県藤沢市(株)湘南未来社)
    「四季本郷」(東京都文京区(株)文泉堂)
    「下町タイムス」(東京都墨田区下町タイムス編集委員会)
    「月刊静岡物語」(静岡県静岡市(株)第一出版)
    「HARVEST」(三重県度会郡(有)ゼロ)
    「月刊SAVVY(サヴィ)」(大阪府大阪市京阪神エルマガジン社)
    「コミュニティーマガジンカナール」(豊中市豊中コミュニティーケーブルテレビ)
    「七彩」(山口県山口市七彩編集室)
    「LB中洲通信」(福岡県福岡市リンドバーグ)
    「Please」(福岡県福岡市九州旅客鉄道(株))

    第13回受賞誌
    ■ 大賞
    「地域文化」(長野県)
    地域(信州)密着化をすすめ、地域の共感を高めるための媒体として編集を進める地域文化誌。
    ■ 部門賞企画賞
    「SPOON」(山形県)
    酒田市を中心に、庄内の人々の暮らしや文化などを発信し続ける月刊生活情報誌。
    ■ 編集技術賞
    「月刊はたはた」(秋田県)
    秋田という土地風土と都会というものを混ぜあわせ、広く日本という国柄を考える地域文化誌。
    ■ 地域コミュニケーション賞
    「町雑誌千住」(東京都)
    千住に息づく本来の下町らしい活気と江戸時代から続く宿場町、商人の町としての歴史を紹介する地域文化誌
    ■ 奨励賞
    「夢見る人」上十三版(青森県)
    「パハヤチニカ」(岩手県)
    「総合文化誌カルチャーちば」(千葉県)
    「私のかまくら」(神奈川県)
    「武蔵野から」(東京都)
    「ここは牛込、神楽坂」(東京都)
    「茶の間しんぶん」(新潟県)
    「月刊京都」(京都府)
    「京都THE伏見」(京都府)
    「季刊アトラス」(愛媛県)
    「ホライゾン」(鹿児島県)
    ■ 特別賞
    「月刊リサイクルデザイン」(神奈川県)

    第12回受賞誌
    ■ 大賞
    月刊「アドバンス大分」(大分)
    ■ 部門賞
    ◎ 企画賞
    「月刊はたはた」(秋田)
    ◎ 編集技術賞
    「北海道味と旅」(北海道)
    ◎ 地域コミュニケーション賞
    「月刊リサイクルNEWS」(愛知)
    ■ 奨励賞
    「団地新聞GreenTown(グリ-ンタウン)」(北海道)
    「ダ・ダ・スコ」(岩手)
    「ラビット通信」(神奈川)
    「銀座通信AVENUE」(東京)
    「地域文化」(長野)
    「自然派マガジン山女(やまめ)」(石川)
    「月刊岐阜人」(岐阜)
    「長浜み-な」(滋賀)
    「月刊アスリ-トマガジン」(広島)
    「あおぞら」(高知)
    「子づれ(DE)CHA・CHA・CHA」(福岡)
    ■ 特別賞「神戸から」(兵庫)

    付属資料

    新聞記事から
    朝日新聞 平成4(1992)年1月17日 
    京都でただ一つの娯楽マガジン「ClubFame」(クラプフェイム)が、第七回NTT全国タウン誌フェスティバルで最高の大賞に輝いた。
    発刊して四年半、編集も経営も軌道に乗ってきたところでの受賞に、スタッフらは大喜び。
    「京都から流行や現象を発信させたい」と張り切っている。

    第七回NTT全国タウン誌フェスティバルで大賞に輝いた「Club Fame」クラブフェイムは1987年8月に創刊された月刊誌。「よく働きよく遊ぶ」を一貫した編集のコンセプトにしている。こうした前提に基づき、疏者層をあえて22~34歳に絞った。自由に使える小遣いが最も多く、京都の市場活性化につながるという狙いもある。
     スタヅプは約20人。平均年齢は25歳で、自ら「よく働きよく遊ぶ」を実践している人たちだ。
     これまでは衣食住、遊びのスポットやイベントなどの紹介、人物インタビューが中心だった。編集長の元橋一裕さんは「作りたい本と売れる本にはギャップがある」と話す。それでも、しゃれた内容が評判になり、部数は五万部にまでなった。
    「やっとペイできるようになった」(五所プロデューサー)といい、これからは「今、京都で何が起こって」いるのか、何がおもしろいのか。単なる情報にとどまらず、社会現象や風俗なども取り上げたい」と話している。

    産経新聞夕刊 平成3(1991)年11月19日
     東京・内幸町の帝国ホテル「亀の間」は、一国一城の主である編集長たち七、八十人でざわめいていた。549誌もの候補から、大賞3誌、奨励賞11誌が表彰されるのだ。
     この世界では、メジャーな賞である。大賞誌の企画やアイデアは必ずまねられる。城主たちは、緊張気味らしく、用意されたウイスキーや料理に手が伸びない。
     大賞三誌中、最もあか抜けていたのは京都の情報娯楽誌「クラブ フェイム」だった。音楽や流行の店、イベント、路上観察までを取り上ぱる。写真も美しい。
     「京都ということで、非常に得をしています。今後一年の間に(フェイムから)流行をつくり出してみせますよ」。グラス片手に、元橋一裕編築長は自信たっぷりだ。
     同じ大賞でも、大分の文化総合誌「月刊アドバンス大分」は硬派だ。九月号を見ると、新テレビ局開局の話、自閉症児のキャンプ報告などが載っている。
     姫野豊吉社長は言う。「生活者の、飾りのない意見を代弁しているつもりです。県知事を批判したりもした。圧力などもいろいろありましたよ」
     東京では国際交流誌「ひらがな身イムズ」が大賞に選ばれた。日本語と英語を併記し、総ルビをふっている。
     野村伸昭編集長は「世界中の人が同じ感覚で読める誌面を目指します」と抱負を語った。選考委員の木村冶美共立女子大教授は「みなさん、大変な努力ですね。でも全体のレベルが上がった分、個牲的な誌面が減った」と注文をつける。
     受賞者のあいさつがすみ、やっと座がほぐれてきた。それまで語り合われなかったアイデアの交換が行われそうな雰囲気になってきたが、お開きの時間になってしまったのは少々、残念だった。(記者武房学)